ネットショップを作る人 Kwave EC studio

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ネットショップを作る人・Kwave EC studioのブログです。ECに関する事などなどを記事にしています。

ネットショップの長時間労働について振り返る

ブラック企業だの長時間労働の規制法案などなど、何かと労働環境の話題が定期的にニュースに取り上げられる日々ですね。かくいうネットショップ業界も、労働環境が整っているわけではないようです。長時間労働が常態化している現場の話は今でもよく耳にしますし、私もネットショップのスタッフとして勤務していた時は、とても長い時間働いていた記憶があります。

当時は体力もたくさんありましたし、何より仕事が面白かったので日々過ごせていましたが、今振り返ると無茶しすぎと思う事も多々ありますので、改めて振り返ってみたいと思います。

もちろん全ての現場は長時間労働をされてるとは思いません。ただ、スタッフ時代には他のお店のスタッフさんとお話してても「毎日終電」とか「泊まり込みで仕事」などは良く聞く話でしたし、自分自身もそうだったので、業界全体がそういう傾向にあると感じていました。

なぜこんな状態になってしまったのか振り返ってみたいと思います。

疑問はあるものの、なんだか楽しい!な新人時代

これは当時がネットショップバブルの時代であったという事も絡んでいると思いますが、初めてネットショップ業界に転職してきた頃の私は、とにかく右も左も新しいことだらけ。まだネットショップで買い物もそこまで当たり前ではなかったので、こんな便利なお店は裏ではこうやって動いてるのね!と、毎日が新しい発見でした。

最初は受注のお手伝いやらをしていたので、わりと定時で帰れていたと思います。それが段々とくずれてきたのが、受注だけでなく、Webデザインの業務も兼任する頃だったと思います。
受注や出荷という仕事は「宅配業者が荷物を引き取りに来る時間」が、1つの区切りとなるので、だいたい日々同じ時間に帰ることができていました。うってかわって、デザインや制作のお仕事は、終わり(納期)がきちんと設定されていなければ、いくらでも時間をかけられる状態になってしまうのです。結果、あれこれ時間をかけてしまうという事態に陥っていきます。当時の現場も納期の設定が明確ではありませんでした。

大変でしたが、新しく商品ページを作ると販売開始したそばから売れていくんです。ページを作った翌日には完売してた、なんて事もざら。やればやっただけ売上は上がっていくので、楽しくてしかたなかったです。

ただ、なんでこんなに仕事が終わらないんだろう。なぜみんな夜遅くまで仕事してるんだろう。これでいいのかな?という疑問も、この時はまだ多少持っていました。

気づいたら毎日残業。なんだか帰りづらい環境?

お店は右肩上がりで売上を伸ばし、事務所もスタッフの数を増やしたりと拡大路線で、まさにバブリー。
現場の雰囲気もイケイケで活気にあふれ、もっと売上げを伸ばそうと躍起になっていました。

店舗も増え、取り扱い商品も増え、スタッフも増やしたので、効率化をはかるため様々なシステムを導入し、在庫も事務所に置ききれなくなったので物流も外注化したり。小さなネットショップの事務所がだいぶ会社らしく、組織らしくなってきました。とはいえ、まだまだ会社の規模としては小さなもの。自分のできる事は本業以外でも兼任していかないと回らない状況でした。

仕事をすればするほど売上に貢献できるという稀有な状況に、19時定時が21時、22時と退社時間がどんどん伸びていきました。もちろん周りの上司や同僚も同じように残業続きです。そんな状況が続くとだんだんと残業が当たり前、定時で買えるのが難しい環境ができあがっていました。

長期化する夜型生活。さらに負のスパイラルへ。

イケイケだった売上はいつまでも続きません。新商品を出していれば売れる時代は過ぎ、お店として成熟期に差し掛かっていたのかと思います。でも、上昇が緩やかになってくると、売上が落ちる恐怖からあの手この手で売上を戻そうと奮闘します。ちろんその分仕事量はアップ。

さらに、長期に渡っての残業生活に慣れると「どーせ今日も終電だし」という考えから仕事の時間配分がへんてこになっていました。今振り返るとメリハリのない効率の悪い働き方だと分かるのですが、当時は焦りもあって正常な判断ができていなかったように思います。

また、長期化する残業続きですっかり夜型人間に。朝は頭がぼんやりでエンジンは午後からかかる状態。
周囲の人たちも日中より日が沈んでからの方が明らかに賑やかで活動的でした。そもそも午前中は人が少なかったり・・・。

こうして「残業→夜型化→さらなる残業」と負のスパイラルの出来上がりです。

確実に受け継がれる労働環境

もうこうなると現場はなかなか変えられません。さらに会社規模も大きくなりスタッフも増えていたので、ノー残業デーを作ろうが、早く帰ろうとスローガンを抱えても、自分自身も含め、上司・同僚すべて完全なる残業マンになっているので、誰かが声を上げたところで中々全員には届きません。

さらに新人さんが入ってこようものなら、1か月で辞めていくか、もしくは新たな残業マンに育て上げられてしまいます。当たり前ですが、現場のスタッフは新人さんに対して「売上のために遅くまで働け」なんて教えることはありません。こういう職場環境が新人さんを新たな残業マンに育てているのだと思います。

当時を振り返ってみて

当時のEC業界は若い業界ということもあり、働いてる方も若い方が今以上に多かったと思います。体力も時間もあるので、ECに情熱を捧げる方は特に長時間労働に陥りがちだったのかと思います。

私も当時は「仕事好きだし」で何とかやってましたが、今思うとだいぶ無茶したと思いますし、何より非効率な働き方だな~、と思うのです。やっぱり体力はあるといっても、朝から終電までぶっ続けで集中して仕事するなんて毎日は続かないわけですし。また、目の前の作業にばかり追われて、お店や商品を良くするという生産性の高い仕事は後回しになっていたと思います。私の場合はたまたま、ガンガン仕事してどんどん売上が伸びるという、ネットショップバブルにあたり、良い思い出&経験として記憶していますが、もしガンガンやっても売上も伸びず報酬もないという環境だったらと考えると、恐ろしくて他人にはおすすめできません。

もし今、長時間労働のショップさんがいらっしゃったら、少し立ち止まって考えていただければと思います。EC業界の労働環境が少しでも良いものになって、良い人材、ひいては良いショップさんが育つ土壌ができることを願うばかりです。