ネットショップの長時間労働について振り返る

ブラック企業だの長時間労働の規制法案などなど、何かと労働環境の話題がホットですね。
かくいうネットショップの現場も、ブラックなところが多いよな~って事で、私のネットショップスタッフ時代(2006-2012年頃)の記憶を呼び出してみようと思います。
※もちろん全てのショップさんが長時間労働をされてるとは思いません。ただ、他のお店のスタッフさんとお話してても「毎日終電」とか「泊まり込みで仕事」など良く聞く話なので、業界全体がそういう傾向にあるとは感じています。

まず、ネットショップスタッフを辞める前の私のとある平日夜。

「あれ、もう19時半!仕事終わらないな~、よ~し今から本気だしちゃおう☆ 終電になっちゃうかな~?」

当時は毎日こんな感じでした。完全に感覚がマヒしてしまってます。
色々とつっこみどころが満載ですが、

  • 定時19時で終わらせる気がサラサラない。
  • 仕事終わらないことに気づくの遅すぎ。
  • それまで何してたんだ。本気だすの遅すぎ。
  • むしろ朝から本気だしときなさい。
  • どうせ終電まで帰れないでしょ、って思ってない?

などなど。

なぜこんな状態になってしまったのか振り返ってみたいと思います。

疑問はあるものの、なんだか楽しい!な新人時代

これは当時がネットショップバブルの時代であったという事も絡んでいると思いますが、初めてネットショップ業界に転職してきた頃の私は、とにかく右も左も新しいことだらけ。ネットショップの受注~発送の仕組み、ページが作られるまでの過程に興味深々。毎日が新しい発見でした。

最初は受注のお手伝いやらをしていたので、わりと定時で帰れていたと思います。それが段々とくずれてきたのが、受注だけでなくページ制作や商品登録の業務も兼任する頃だったと思います。
受注や発送は終わりの時間がほぼ毎日同じ時間で「宅配業者が荷物を引き取りに来る時間」と明確でした。うってかわってページ制作や商品登録などのページ制作の仕事は、終わりがきちんと設定されていなければ、「ここの画像にカラー展開いれた方が親切かな?」とか「このキャッチコピーもう少し分かりやすくしよう」などなど、いくらでも時間をかけられる状態になってしまうのです。結果、完璧を目指しあれこれ時間をかけてしまうという事態に陥っていきます。当時の現場も終わりの設定が明確ではありませんでした。

でもすごいのは、新しく商品ページを作ると販売開始したそばから売れていくんです。ページを作った翌日朝出社したら完売してた、なんて事もざら。やればやっただけ売上は上がっていくので、楽しくてしかたなかったです。

ただ、なんでこんなに仕事が終わらないんだろう。なぜみんな夜遅くまで仕事してるんだろう。これでいいのかな?という疑問も、この時はまだ多少持っていました。

気づいたら毎日残業。なんだか帰りづらい環境?

お店は右肩上がりで売上を伸ばし、事務所もスタッフの数を増やしたりと拡大路線で、まさにバブリー。
現場の雰囲気もイケイケで活気にあふれ、もっと売上げを伸ばそうと躍起になっていました。

店舗も増え、取り扱い商品も増え、スタッフも増やしたので、効率化をはかるため様々なシステムを導入し、在庫も事務所に置ききれなくなったので倉庫を外注にしたり。小さなネットショップの事務所がだいぶ会社らしく、組織らしくなってきました。

ふと気づくと定時19時なのに、帰宅は毎日22時頃。20時台に帰れると「今日はすっごい早く帰れたな~♪」と感じるように。すでに感覚がずれはじめてますね(笑)
もちろん周りの上司や同僚も同じように残業続きです。
そうすると仕事が早く終わった事にたいして、罪悪感を感じるようになってきました。仕事をもっとすれば売上に貢献できるのに、という考えが常に頭の中に居座るようになってきたのです。

長期化する夜型生活。さらに負のスパイラルへ。

イケイケだった売上はいつまでも続きません。新商品を出していれば売れる時代は過ぎ、お店として成熟期に差し掛かっていたのかと思います。
でも、上昇が緩やかになってくると、売上が落ちる恐怖からあの手この手で売上を戻そうと奮闘します。ちろんその分仕事量はアップ。

さらに、長期に渡っての残業生活に慣れると「どーせ今日も終電だし」という考えからダラダラと仕事をするようになっていきました。
18時頃軽食を食べのんびり仕事、21時過ぎた頃にやっと「やばいやばい!」と猛スパートで仕事をするという、へんてこな時間配分になってました。

じゃあ日中にスパートかけて仕事すればいいじゃない、と思うのですが、長期化する残業続きですっかり夜型人間に。朝は頭がぼんやりでエンジンは午後からかかる状態。
現場も日中より日が沈んでからの方が明らかに賑やかで活動的でした。そもそも午前中は人が少なかったり・・・(笑)

こうして「残業→夜型化→さらなる残業」と負のスパイラルの出来上がりです。

確実に受け継がれる労働環境

もうこうなると現場はなかなか変えられません。ノー残業デーを作ろうが、早く帰ろうとスローガンを抱えても、自分自身も含め、上司・同僚すべて完全なる残業マンになっているので、誰かが声を上げたところで中々全員には届きません。

さらに新人さんが入ってこようものなら、1か月で辞めていくか、もしくは新たな残業マンに育て上げられてしまいます。
現場のスタッフは新人さんに対して「売上のために遅くまで働け」なんて教えこみません。そういう職場環境が新人さんを新たな残業マンに育てているのだと思います。

こうして冒頭のような感覚のずれた私のような人間の出来上がりです(笑)

当時を振り返ってみて

当時は仕事好きだし、体力もあるし、で何とかやってましたが、今思うとだいぶ無茶したと思いますし、非効率的な働き方だな~、と思うのです。

やっぱり体力はあるといっても、朝から終電までぶっ続けで集中して仕事するなんて毎日は続かないわけで、ダラダラ仕事をし(当時は一生懸命やってたつもりですが)、だいぶ時間を無駄にしたように思います。
今はだいぶメリハリをつけて仕事をするように意識づけているのですが、やはり集中できることと考える時間が確保できるのは、他には代えがたい収穫だと思っています。

また、若いときはガシガシ仕事した方がいい!と思うところはあるのですが、それは私がたまたま、ガンガン仕事してどんどん売上が伸びるというネットショップバブル期を経験し良い思いをしているからであって、もしガンガンやっても売上も伸びないという環境だったらと考えると、恐ろしくて他人にはおすすめできません。

EC業界の労働環境が少しでも良いものになって、良い人材ひいては良いショップさんが育つ土壌ができることを願うばかりです。